竹内薫乃は目に見えないほどわずかに震え、額の青筋が怒りで脈打っていた。
彼女が来ないように、わざと助手にコーヒーをドレスにこぼさせたのに、なぜ...なぜ彼女はまだ来たのか?
しかも、こんなにも人々を魅了する姿で。
工藤みやびは優雅に堂々とレッドカーペットの中央を歩き、他の女優たちのようにカーペットの両側で立ち止まることはなかった。
カメラマンに求められた時だけ微笑んで足を止め、彼らにいくつかの撮影アングルを提供した。
レッドカーペットの両側でカメラマンたちはシャッターを猛烈に押し続け、美しい瞬間を一つも逃すまいとしていた。
今夜、彼らは多くの女優を撮影したが、今夜ほど眩しく輝く美しさを持つ人物は初めてだった。
彼女は多くの女優が愛し、同時に恨むドレスを着ていた。それは「ミューズ」ブランドのデザイナー、メリンの作品だった。
彼がデザインしたドレスは非常に美しく、見た人は誰もが身につけたいと思わずにはいられない。
しかし、彼の服は非常に人を選ぶ。
似合う人が着れば、この上なく美しく見える。
似合わない人が着れば、ファッション災害となり、美しさは全く感じられない。
だが、メリンのデザインしたドレスをこれほど見事に着こなす女優は今までいなかった。
ヌードカラーのドレスに散りばめられたダイヤモンドと真珠は、一粒一粒が本物で、工藤みやびが歩くたびに宝石の輝きが揺れ動いた。
ドレスのヌードカラーとケープのデザインは、高貴さと優雅さを存分に引き立てていた。
ホルターネックのデザインが美しい鎖骨と肩を巧みに露出させ、ほんのりとしたセクシーさを添えていた。
「レディ、こっちを見て!」
あるカメラマンが大声で手を振り、叫んだ。
工藤みやびは数歩先で警備員に退場を促されている竹内薫乃を一瞥し、優雅に歩み寄って彼女に挨拶した。
そして、一緒にカメラマンの前に立ち、写真に収まった。
彼女は優雅に微笑み、竹内薫乃は隣で豊かな胸を張り、セクシーさをアピールした。
フラッシュが再び猛烈に光り、撮影するカメラマンたちは気づいた。
さっきまで艶やかでセクシーだった竹内薫乃が、工藤みやびと同じフレームに収まった途端、まるで色あせたように見えた。
容姿も雰囲気も、完全に次元が違っていた。
あるカメラマンは満足のいく一枚を撮り、驚きと感嘆の声を上げた。