第212章 レッドカーペットで艶やかに輝く

東京国際映画祭は、国際Aクラスの映画祭の一つである。

午後6時は、レッドカーペット入場の時間で、ここはまさに女優たちが美を競い合う戦場だ。

女優たちは、清純で美しいか、セクシーで魅惑的であるかのどちらかで、5分間のレッドカーペットの時間に全力を尽くして、カメラマンたちの注目を集めようとする。

竹内薫乃の前に、すでに数人の仙女のような衣装を着た女優たちが入場していた。

そのため、彼女が鮮やかな緑色のレトロでセクシーなスタイルでレッドカーペットに現れると、すぐに一部のカメラマンたちの注目を集めた。

この念入りに作り上げたスタイルを無駄にしないために、わずか60メートルのレッドカーペットで、彼女はほぼ一歩一歩ポーズを取り尽くした。

実際、2分間の時間で、カメラマンたちは撮影した後、他の有名人に移っていく。

しかし、初めての映画祭デビューで、巨額の費用をかけてドレスを用意し、有名なスタイリストも雇った竹内薫乃が、数分で歩き終えるわけにはいかなかった。

レッドカーペットに上がった後、左側に行き、また右側に行った。

時には微笑みながら手を振り、時には愛らしくキスを投げ、あるいは自慢の胸元を披露した。

言うまでもなく、彼女のセクシーな胸元は、レッドカーペットの両側に集まった男性カメラマンたちの目の保養となった。

しかし、レッドカーペット上の時間は厳しく制限されており、各セレブリティは最大でも5分間しかレッドカーペットに留まることができない。

ただし、通常は3分以内に歩き終えるのが普通だ。

なぜなら、3分を超えると、顔を曇らせた警備員が追い出しに来るからだ。

竹内薫乃はレッドカーペットに2分半以上滞在しているが、まだ30メートルも歩いておらず、警備員たちはすでに呆れて目を白黒させていた。

そして外で入場準備をしているリムジンの中で、石橋林人は車に乗り込んでから、スマホを手に工藤みやびを撮り続けていた。

三の若様は本当に素晴らしい、見つけてきた新しいドレスはまるで荒木雅のために特注したかのようだった。

藤崎千明は手でフラッシュを遮りながら、不機嫌そうに叱った。

「もう十分撮ったか?目が眩んでしまうぞ」

石橋林人はようやく恩恵を受けた身として、彼を怒らせるわけにはいかず、急いでスマホをしまった。

「十分です、もう撮りません、撮りません」