第216章 再会う工藤司

国内のツイッターで大騒ぎになっていることを、映画祭の授賞式に参加している工藤みやびたちは知らなかった。

選出された作品がなかったため、彼らと安藤先生の席はやや辺鄙な場所にあった。

藤崎千明は選出作品があったので、本来なら前の方に座るはずだった。

結果、彼は入ってくるなり誰かと席を交換し、彼らと一緒に座った。

授賞式が始まると、まず各選出作品の発表と、受賞作品への賞の授与が行われた。

最優秀作品賞、最優秀ドキュメンタリー賞、最優秀撮影賞……

一連のマイナーな賞が、司会者と特別招待された授賞ゲストの発表のもとで授与された。

徐々に、映画祭で最も注目され期待される最優秀監督賞、最優秀助演男優賞・女優賞、そして……最優秀主演男優賞・女優賞へと進んでいった。

藤崎千明は撮影が終わるとすぐに夜行便で飛んできたため、

座ってしばらくすると椅子に寄りかかって居眠りを始めた。

安藤泰監督は仕方なく目を白黒させ、授賞台の方を向いて、見ざる聞かざるを決め込んだ。

最優秀監督賞が外国の芸術映画の監督に授与された後、新しいゲストが登壇し、最優秀助演男優賞と最優秀助演女優賞を発表した。

ゲストがユーモアのある話をした後、大スクリーンには選出された数本の映画のシーンが映し出された。

工藤みやびはそれを見終わると、監督の安藤泰の隣でぐっすり眠っている藤崎千明を驚いて見た。

彼のあんなにひどい演技で、A級映画祭の助演男優賞にノミネートされるなんて?

授賞ゲストはカードを手に取り、神秘的に言った。

「さて、今夜の最優秀助演男優賞は、私の手の中にあります。」

「受賞者は『ストーム』で宮崎蓮己を演じた……千明さんです!」

言葉が終わるや否や、照明がぐっすり眠っている藤崎千明に当てられた。

大スクリーンには、ほぼ同時に彼がぐっすり眠っている様子が映し出され、会場は一斉に笑いに包まれた。

ゲストはユーモアで気まずさを和らげ、笑いながら声をかけた。

「千明さん?」

藤崎千明はまだ反応せず、むしろ口をもぐもぐさせ、会場をさらに笑いの渦に巻き込んだ。

工藤みやびは見るに耐えず額に手を当てた。このバカ、自分が受賞しに来たことを忘れたのか?

安藤泰は笑うに笑えない表情で、手を伸ばして彼をぎゅっとつねった。藤崎千明は痛みで飛び上がった。