第225章 キスしてハグして寝ちゃおう

工藤みやびは恐ろしい顔で彼を見つめた。彼らの部屋は壁一枚隔てただけだったが。

しかし、防音がこんなに悪いはずがない。

藤崎千明は声を低くして、小声で言った。

「変なことを考えないで。昨夜はちょうど藤崎千颯が兄に仕事の報告をしていて、一晩中二人のイチャイチャを見せつけられた上に、私まで起こされて一緒に見せられたんだ」

工藤みやび:「……」

工藤司と同じ便に乗り、しかも同じファーストクラスに座っていたため。

工藤みやびと藤崎千明の二人は、まるで針のむしろに座っているようで、一秒一秒が長く感じられた。

幸い、藤崎千明は彼女と席を交換してくれた。

彼女はそれほど近くに座らなくて済み、カーテンで視界も遮られていたので、ようやく緊張が和らいだ。

西新宿から西居都までのフライト時間は2時間半。