第295章 なぜこんな兄と、あんな弟がいるのか?

藤崎千颯は会社で一晩中残業し、藤崎千明はその間ずっと会社の外で待ち続けていた。

誰も帰ろうとせず、かといって会社内で手を出す勇気もなかった。

一晩中、藤崎千颯は藤崎雪哉から任された仕事を終えただけでなく、時間を潰すためにさらに多くの仕事をこなした。

藤崎雪哉は出社後、彼の仕事ぶりを高く評価した。

そして、すぐに彼にさらに多くの仕事を投げ、自分は午後には会社に来ずに、家に帰って彼女とデートに行ってしまった。

会社で三日間も強制的に残業させられた後、藤崎千颯はついに崩壊し、実の兄に泣きついた。

「兄さん、家に帰りたい」

「ああ」藤崎雪哉は冷淡に返事をした。

藤崎千颯は重たいクマを抱え、充血した目で惨めに言った。

「でも、藤崎千明がまだ外で待っているんだ。助けてくれるのは兄さんだけだよ」