第294章 死に物狂いを人生の楽しみとする

藤崎千颯は会社から出ず、藤崎千明も会社に居座って帰らず、二人はこうして膠着状態に陥っていた。

藤崎雪哉は彼が会社にいる間の安全を保証すると約束しただけで、会社を出た後の安全は保証しなかった。

そのため、藤崎千明の追撃の下、藤崎千颯は会社の正門すら出られなくなった。

会社で残業をするのを厭わず、退社して家に帰ることもできなかった。

こうして、二人は夜まで粘り続け、誰も譲らなかった。

藤崎雪哉は心置きなく大量の仕事を藤崎千颯に任せ、自分は早々に退社して彼女のもとへ帰っていった。

工藤みやびは朝から昼過ぎまで眠り、助手に買ってもらった新しい携帯電話で本間夢に会う時間と場所を送信した。

そして再び電源を切り、慎重に隠した。

藤崎雪哉が本間家を調査する目的は、彼女を見つけるためだった。