藤崎千明は、あと一日か二日もあれば、あのゴシップ社長が誰なのか調べられると思っていた。
しかし、翌日の撮影が終わると、マネージャーの宮本明人は相手がちょっとした手段を持っているようで、会社はその人物が誰なのか突き止められなかったと言った。
藤崎千明は怒り心頭で、隣の工藤みやびの部屋のドアをノックした。
「お義姉さん、頼みがあるんだけど、兄さんに頼んであのゴシップ社長がどいつなのか調べてもらえない?」
彼の会社の人間が調べられなかったので、家族の力を借りるしかなかった。
しかし、三浦大也はいつも長兄の命令しか聞かず、彼と藤崎千颯には全く従わなかった。
工藤みやび:「あなたの実の兄なんだから、自分で頼みなさいよ」
「頼んだけど、相手にしてくれないんだ」藤崎千明は不満げに言った。
それに、三浦大也と藤崎家が雇っているハッカーたちは、藤崎グループのための機密情報を調査するためのものだ。
アンチファンを調べるために彼らを使うなんて、あり得ないだろう。
でも、もし義姉が兄に頼めば、兄は間違いなく二つ返事で調査を命じるはずだ。
「じゃあ、次兄に頼めばいいじゃない。こういう嫌がらせは彼の得意分野でしょ?」工藤みやびは鼻を鳴らした。
昨日彼女が話していたのを聞いて、彼女もそのゴシップ社長のツイッターをチェックしていたらしい。確かに藤崎千明の悪い噂をたくさん流していて、しかも...それらは全て事実だった。
こんなに多くの悪い噂を握っている人物は、間違いなく彼をよく知る人物だ。
会社の人間でなければ、家族の可能性がある。
彼の周りで、こんな嫌がらせをするのが好きなのは、次兄以外に誰がいるだろうか?
藤崎千明は手を振って、それが藤崎千颯のやることだとは信じられないと言った。
「あのアンチは何年も前から私を叩いてるんだ。藤崎の次男坊がそんなことするわけないよ」
「じゃあ自分でゆっくり探してみなさいよ」工藤みやびは意見を述べず、藤崎雪哉に頼んでこのアンチを調べてもらうつもりもなかった。
「見つからないから、お義姉さんに頼みに来たんじゃないか」藤崎千明は取り入るように笑った。
工藤みやび:「あなたの兄なんだから、自分で頼みなさい。私に頼まないで」