第347章 堀夏縁と同じ舞台で競う4（追加更新）

二番目の声の吹き替えが終わると、会場全体が立ち上がって拍手し、拍手は雷のように鳴り響いた。

一番目の声は感情が豊かではあったが、二番目の声と比較すると、感情の層が浅すぎ、表現される感情も単調すぎた。

どの声が女優の堀夏縁によるものか、どの声がステージに呼ばれた荒木雅によるものかは明言されていなかった。

しかし、一方は新人女優で、これまでに女性二番手の役を一度演じただけ。

もう一方は数々の大賞を受賞し、『命果てぬ夢』の主演を務めた女優の堀夏縁。誰もが、より完璧な吹き替えである二番目の声が、堀夏縁の声だと思うだろう。

だから二番目の声が流れ終わると、全員が一斉に立ち上がって敬意を表して拍手した。

堀夏縁は二番目の声が自分のものではないことを知っていたが、この場では落ち着いて微笑むしかなかった。