第348章 工藤司は彼女と二人きりで話したい

黒田志雄は電話で問い合わせた後、身を屈めて堀夏縁に答えた。

「工藤さんはすぐに到着します。」

堀夏縁は頷き、ステージ上でイベントが進行中で、客席に誰も注目していないうちに席を離れた。

外に出ると、彼女のために特別に用意されたVIP休憩室で工藤司の到着を待った。

しかし、先ほどステージで聞いた荒木雅が『命果てぬ夢』のために吹き替えた声を思い出すと、まだ背筋が凍る思いだった。

まるで……まるで亡くなった工藤みやびの霊が戻ってきたかのようだった。

そのため、工藤司が部屋に入ってきても、彼女は気づかなかった。

工藤司は座り、長い脚を組んだ。

「黒田によると、問題があるそうだな?」

堀夏縁は唇を噛み、悲しげな表情で言った。

「今日、日本の映画俳優と一緒に『命果てぬ夢』の名シーンの声を新たに吹き替えて、ネットでファンから寄付を募るよう招待されました。」