「……」
工藤みやびは二秒間呆然としてから、果断に彼の腕から這い出し、自分で枕を抱えてベッドの端に座った。
藤崎雪哉が手を伸ばして彼女を引き寄せようとすると、彼女は警戒心いっぱいの表情でベッドの端へと少し移動した。
「近づかないで」
昨晩の体力消耗からまだ回復していないのに、今夜もまた?本当に彼女をこのベッドで死なせたいの?
もしやり直せるなら、あんな命がけの方法で本間夢を救おうとはしないだろう。捕まるなら捕まればいい。
あんな風に人を救うのは、自分を犠牲にしすぎる。
藤崎雪哉はそれ以上近づかず、彼女の要求通りに距離を置いて、自分のことをしていた。
工藤みやびは片隅に座り、台本を熱心に読んでメモを取り、二人はお互いを邪魔しなかった。
夕暮れになり、使用人が夕食を用意して、ドアをノックした。