十一時半、工藤みやびは藤崎雪哉が手配したプライベートジェットに乗り、ようやく帝都に戻ってきた。
時間を見ると残り30分しかなく、仕方なく溜息をついた。
やはり、間に合わないだろう。
しかし、飛行機を降りるとすぐに、グレーのコートを着た長身で優雅な男性が外で待っているのが見えた。
工藤みやびは嬉しそうに彼の前まで走り、明るい瞳に笑みを浮かべた。
「お誕生日おめでとう!」
藤崎雪哉は手を伸ばして彼女を抱き寄せ、「先に車に乗ろう」と言った。
飛行機のスタッフが、彼女が持ってきた荷物を下ろし、車に積み込んだ。
工藤みやびは彼について車に乗り、近くにある天水ヴィラへ向かった。
中に入ると、風船や色とりどりのリボンで派手に飾られたパーティー会場が広がっていた。
藤崎雪哉は招かれざる三人を一瞥し、不機嫌そうに眉をひそめた。