第382章 藤崎雪哉の誕生日プレゼント

工藤みやびは本間夢との今回の会合で、石橋林人に出くわしたせいで二日間も心配していた。

幸いなことに、石橋林人はそれ以上何も考えず、藤崎雪哉の部下たちも気づかなかった。

だから、彼女もすっかり安心することができた。

あっという間に、藤崎雪哉が出張から帰国する日が来た。それは同時に彼の誕生日でもあった。

藤崎千颯から聞いたところによると、最近会社は海外との重要な提携があり、藤崎雪哉はかなり忙しくなるとのことだった。

そのため、藤崎雪哉が彼女に会いに来ると言った時、彼女は撮影が終わったら帝都に戻って彼に会いに行くと提案した。

ただ、予想外だったのは、その日の撮影シーンが多く、夜になってようやく撮影が終わったことだった。

しかも、その地域では雪が降り始めてから大雪になり、やっと空港に着いたものの、吹雪がひどくて飛行機がしばらく離陸できなかった。

工藤みやびは真夜中まであと数時間しかないのを見て、飛行機の中で落ち着かない様子だった。

そこで、藤崎雪哉に電話をかけた。

「帰れなかったらどうしよう?」

「明日私が行くから、その時に埋め合わせてくれればいい」藤崎雪哉の口調には少しも焦りがなかった。

工藤みやびは窓の外を見て、言った。

「風が少し弱まったみたい。今すぐ離陸できないかな?」

藤崎雪哉はそれを聞いて、なだめるように言った。

「安全第一だ。天候が良くなるまで待とう」

彼は確かに彼女に会いたかったが、彼女がそんな危険を冒して戻ってくるのは望んでいなかった。

工藤みやびには、彼の方がちょっとうるさいのが聞こえた。

「接待中?」

「実家で誕生日パーティーを開いていて、親戚や旧知の人たちがいる」

藤崎雪哉は赤ワインを持って窓際に立ち、客人の前で見せる冷淡な表情ではなく、明らかに柔らかい表情をしていた。

藤崎奥様はちょうど数人の名家の奥様たちと話を終え、窓際で電話をしている息子を見て思わず立ち止まり、お皿を持って食べ物を食べている藤崎千颯に近づいた。

「あなたのお兄さんは誰と電話しているの?」

藤崎千颯はケーキを一切れ口に運びながら、「もちろんお義姉さんとだよ」と言った。

彼の彼女以外に、誰が部屋中の客人をほったらかしにして電話に出るほどの魅力を持っているだろうか。