第376章 犬の餌で死にそう

芸能人に十分な漢方薬と暖房器具を持ってきたため、石橋林人は撮影クルーから褒めちぎられ、皆が彼ほど献身的なマネージャーを見たことがないと言った。

しかし、彼は泣きたい気持ちだった。これは全て大ボスが用意したものであり、彼はただ持ってきただけなのだ。

工藤みやびが撮影している間、彼はこっそりと人のいない場所を見つけて、ボスの藤崎千明に電話をかけた。

「三の若様、荒木雅のマネージャーを変えてください。私はもうやっていけません。」

藤崎千明はそれを聞いて、もちろん不満だった。

「なぜだ?兄貴たちはお前のことを気に入っているじゃないか?」

「俺はイチャイチャを見せつけられて死にそうだ。」石橋林人は歯ぎしりしながら言った。

彼らが付き合っていることを知ってから、二人は彼の前で遠慮なくイチャイチャし、ラブラブぶりを見せつけていた。

藤崎千明はそれを聞いて、面白がって笑った。

「それはお前の栄誉だよ。彼らのイチャイチャを誰でも見られると思うのか?」

以前は、彼が一番イチャイチャを見せつけられていたが、今やその攻撃を受けるのは彼ではなくなった。

「そんな栄誉なんて要りません。」石橋林人は怒って言った。

「今マネージャーを変えるかどうかは、私の決定ではなく、兄貴の決定だ。自分で彼に言ってみろ。」

藤崎千明は言い終わると、すぐに電話を切った。

今や石橋林人は彼らの関係を知っているので、兄は恋愛をそれほど隠す必要がなくなった。

今マネージャーを変えたら、また色々と警戒しなければならず、もちろん不便だ。

「私は...」

石橋林人が言い終わる前に、相手がすでに電話を切っていることに気づき、携帯を投げつけそうになるほど腹が立った。

大ボスに言えと言われても、そんな勇気があればの話だ。

工藤みやびは一場面を撮り終えると、すぐにアシスタントが持ってきたコートを羽織り、生姜湯を一口飲んで、撮影クルーと共に次の場面の撮影に移動した。

アシスタントは横でスマホをいじっていたが、突然怒った顔で言った。

「なんだこれ、竹内薫乃は恥知らずね!」

石橋林人はちらりと見て、「また何かあったのか?」

「竹内薫乃の新ドラマが放送開始して、また『艶やかさで圧倒』という記事を出してるわ。どの記事にもみやびの名前が入ってる。」