第445章 私は藤崎雪哉と結婚したい

本間壮佑は彼女を連れて中に入り、人に会うと福祉施設の状況を紹介し、誰もいなくなると言った。

「福くん、降りなさい。」

「いやだ、僕は奥さんに抱っこしてもらいたい。」小さな福くんは工藤みやびの首にしがみついて離さなかった。

本間夢が無理やり引き離すと、福くんはすぐに崩れ落ちそうな涙目で泣きそうになった。

口を開いて泣き声を出す前に、本間夢によってキャンディが口に入れられた。

涙はすぐに止まり、集中してキャンディを食べ始め、もう奥さんを探すことも忘れていた。

本間夢は自分もキャンディをくわえ、キャンディを食べている息子を連れて福祉施設の食堂の外の廊下で遊びながら、見張り役も務めていた。

本間壮佑は工藤みやびを食堂に連れて行った。この時間帯は誰もいないので話しやすかった。

「工藤家に戻れないとしても、藤崎家があなたの安全な場所になるとは限らない。」

「師匠、あなたの言うことも、心配していることも分かっています。」工藤みやびは窓辺に立ち、外の広大な空を見つめながら言った。「私には分からないのです。工藤司が私に優しかったあの数年間は、本当に私を好きだったからなのか、それとも...私の父がカーマン・ドランスだからなのか。」

しかし、彼女は藤崎雪哉が自分を好きなのは、どんな利益関係でもなく、純粋な好意だと確信していた。

本間壮佑は彼女がカーマン・ドランスについて言及したことに驚き、しばらく深い沈黙の後。

「いつ知ったんだ?」

工藤家は彼女にカーマン・ドランスのことを話したことはなく、彼も話したことがなかった。彼女はどうやって知ったのだろう。

「藤崎雪哉が調べたことで、私はたまたまそこにいて、聞いてしまったんです。」工藤みやびは率直に言った。

本間壮佑は驚いた。そんな機密情報を、藤崎雪哉は彼女の前でも隠さないのか?

「すまない、君のお父さんとの約束で、彼のことを君に話せなかったんだ。」

あの数年間、彼女が実の父親の情報を求めて奔走する姿を見ながらも、彼は知っていることを彼女に明かさなかった。

「師匠はすでに私をたくさん助けてくれました。」工藤みやびは微笑みながら言った。

彼女がどんなに我儘で無謀なことをしても、彼はいつも彼女を助け、守ってくれた。