警察官と後から来た医師は顔を見合わせ、医師は重々しい表情で言った。
「彼女は爆発と火災の現場にいたため、今の状態は……」
藤崎雪哉は冷たい声で繰り返した。「開けろ!」
藤崎千明は医師の言葉を聞いて、開けたら目を覆いたくなるような光景が待っていることを想像できた。
「兄さん、見ない方が……」
自分でさえ見るのが辛いのに、兄にとってはどれほど胸が張り裂けるような思いになるだろうか。
藤崎雪哉はなおも主張した。「開けろ」
医師はため息をつき、近づいてファスナーを開け、中の被害者の姿を露わにした。
そして、黙って脇に退いた。
藤崎千明は一目見ただけで、もう見るに耐えず顔を背け、瞬く間に目が赤くなった。
中にいたのは、昨日まで彼と一緒に作家と会う約束をしていた生き生きとした荒木雅ではなく、爆発による火傷で顔と半身が人間の形をとどめていなかった。