岡崎謙は病院を出て、風蘭国のテロ調査を担当する国家安全部と連絡を取りに行った。
藤崎千明は藤崎雪哉から一歩も離れず見守っていた。自分の兄が冷静に見えるとはいえ。
しかし、彼のあの死んだ水のように生気のない目を見るたびに、胸が締め付けられる思いだった。
夜になって、藤崎千颯が国内で会社の山積みの業務を処理し終えてから、ようやく藤崎千明に電話をかけてきた。
「状況はどうだ?人は見つかったか?」
「池田輝を呼んだのは何のためだ?」
……
藤崎千明はため息をついて言った。
「人は見つかったが…こちらでは爆発で亡くなったと言っている。兄さんはそれが荒木雅だとは信じていないし、こちらの鑑定結果も信じていない。池田輝をDNA鑑定のために呼んだんだ。」
「亡…亡くなった?」藤崎千颯は路肩に車を停め、追及した。「彼女を守るために人を手配したはずだろう、どうして亡くなるなんてことがあるんだ?」