岡崎謙は相手が同意し、彼らが調査に介入することを許可したのを見て、すぐに風蘭国に到着したばかりの三浦大也一行に電話をかけて指示した。
藤崎雪哉の意向を伝え終えると、風蘭国国家安全部副部長が去るのを待って前に進み出て言った。
「藤崎社長、あの三人のボディガードが見つかりました。二人は射殺され、一人は重傷で病院に…まだ意識が戻っていません。」
藤崎雪哉はそれを聞いて眉をわずかに寄せた。「他には?」
「一人はホテルの裏口付近で殺害され、一人は車内で襲撃を受けました。この重傷者は病院にいます。もう一人は…荒木雅様と同じ階にいました。おそらく彼らは彼女を連れ出そうとしていたのですが…成功しませんでした。」岡崎謙は自分が得たばかりの最新情報を報告した。
藤崎千明は傍らでその話を聞いて驚いていた。これで彼はようやく、なぜ岡崎謙という一介の秘書が、藤崎千颯という副社長と同じ年俸をもらっているのか理解できた。
わずか二時間で国家安全部と大使館との調整を済ませ、さらにこの調査情報まで入手するとは、普通の人間なら三頭六腕でなければできないことだ。
「池田輝はあとどれくらいで到着する?」藤崎雪哉が尋ねた。
藤崎千明は時計を見た。「おそらくあと1時間で着陸するでしょう。」
この死体は爆発による火傷で、もはや人間の姿をしていなかった。
しかし体型は荒木雅と同じで、周りにあるものもすべて荒木雅のもので、こちらのDNA検査でも彼女だと出ている。
それでも兄はまだ、これが荒木雅だとは信じたくないようだった。
もし池田輝がもう一度検査をして、やはりこの死者が荒木雅だと言ったら、彼は信じざるを得なくなる。そうなったらどうするのだろう?
藤崎雪哉は話を聞き終えると、さらに岡崎謙に質問を続けた。
「ホテルや周辺の監視カメラには、何か手がかりはあるか?」
「すべて破壊されており、修復不可能です。」岡崎謙は答えた。
藤崎雪哉は追及した。「以前の風蘭国北部でのテロも、こんな感じだったのか?」
岡崎謙:「いいえ、そうではありませんでした。」
藤崎雪哉は厳しい表情で言った。
「映画祭当日ではなく前日を選び、しかもホテルを選び、ホテルと周辺の監視カメラを破壊した。これは本当にテロなのか、それとも…何かを隠そうとしているのか?」