午前3時、池田輝は慶應義塾大学病院に駆けつけた。
藤崎千明から電話があり、荒木雅に何かあったので、DNA検査の機器を持って来るように言われただけで、詳しい状況はよく分からなかった。
病院に着くと、藤崎雪哉と藤崎千明、そして日本の風蘭国大使がいた。
「こんな急に呼び出して、何を調べろというんだ?」
藤崎雪哉は遺体袋の中の死者を見ながら言った。
「彼女が...雅かどうか、確認してほしい」
手袋をはめていた池田輝は全身が凍りついたように固まり、ゆっくりと話した人を見た。
彼は、爆発で顔が判別できなくなったこの死者が荒木雅かどうか確認しろと言ったのか?!
何か聞こうとしたとき、岡崎謙が来て藤崎雪哉を呼び、最新の進展を報告した。
池田輝は手袋とマスクをつけ、遺体袋の中の死者を見て、それから藤崎千明を見た。