病院から天水ヴィラに戻る途中、工藤みやびは藤崎雪哉に電話をかけた。
「帰ってきたの?」
「うん、今道中だけど、ひとつ相談があるんだけど...いいかな?」工藤みやびは探るように尋ねた。
藤崎雪哉:「何の話?」
工藤みやびは取り入るように笑いながら、「本間壮佑の古傷は手術が必要で、本間夢も病院に残って看病しないといけないから、私...福くんを一時的に引き取ってもいい?」
この数日間、ずっと本邸で藤崎奥様たちに面倒を見てもらっていると聞いた。
でも、ずっと彼らに任せておくのは、考えてみればあまり適切ではない。
藤崎雪哉は聞き終わると、考えもせずに言った。
「この件は、相談する必要はない。彼は本邸でとても良く過ごしているはずだ」
やっと二人だけの時間ができたというのに、小さな子供を連れ帰って二人の世界を邪魔されるなんて。