書斎の中は、静かな温かさに包まれていた。
突然、主寝室の方から子供の泣き声が聞こえ、工藤みやびは藤崎雪哉から手を離した。
「福くんが起きたわ」
藤崎雪哉は薄い唇を軽く噛み、横を向くと福くんが裸足で、涙目で泣きながら書斎に走ってくるのが見えた。
「奥さん、いなくなって、福くん怖かった……」
工藤みやびは急いで悲しそうに泣いている福くんを抱き上げ、一方で彼の背中を軽くトントンと叩きながら、もう一方では座ったまま次第に顔色が暗くなっていく男性を見た。
「私が先に彼を寝かしつけに行った方がいい?」
藤崎雪哉は先ほどまで愛情たっぷりに自分を抱きしめていた彼女が、今度はその小さな子供を抱きしめているのを見て、胸の中で怒りを感じたが、それを表に出すことはできなかった。
「行っていいよ」