病室には本間壮佑だけがベッドに横たわり、表情は少し憂鬱そうだった。
工藤みやびは福くんの手を引いて入ってくると、小さな子供はベッドに駆け寄った。
「パパ、福くんは毎日とっても良い子だよ。」
「福くんは自分でにんじんも食べたよ。」
「福くんはパパにおいしいものを持ってきたよ。」
……
小さな子供はそう言いながら、一生懸命に自分のクマのリュックを脱ごうとして、お父さんに食べ物を取り出そうとしていた。
本間壮佑は可愛らしくて素直な子供を見て、手を伸ばして柔らかい髪を撫でた。
「うん、福くんはいい子だね。」
福くんはリュックを脱ぎ、自分のお菓子をベッドの上に出して、一つ一つ手に取った。
「これはパパの、これはママの、これは奥さんの、これは福くんの。」
工藤みやびは本間壮佑の心配そうな様子を見て、尋ねた。