本間夢は日本を離れ、本間壮佑と工藤みやびはそのためにアンダーソン家に人を求めるという無謀なことはしなかった。
福くんは藤崎家の本邸で藤崎奥様たちの行き届いた世話を受け、彼らが心配する必要は全くなかった。
本間壮佑は病院で池田輝が手配した術後治療に積極的に協力し始め、工藤みやびは正式に休暇を終え、仕事に没頭した。
新しい映画の事前準備はすでに半分進んでおり、監督チームとプロデューサーチームの最初の会議が手配され、映画の出演者が決定された。
工藤みやびはキャスティングを担当する副監督が起草した出演者リストを見て、眉をひそめた。
主演女優は彼女で、主演男優は藤崎千明、その他の役も全て千秋芸能の現在所属しているタレントたちだった。
藤崎千明はさらに得意げに彼女に言った。「これは我が社で最も容姿端麗なタレントたちだよ。全員がこの映画に参加すれば、必ず大ヒットするさ」
工藤みやびは頭を抱えて片手で額を支え、ため息をついた。「もう少し真面目にできないの?」
この映画は千秋芸能が製作するとはいえ、会社のタレントをこんなにたくさん詰め込む必要はないだろう。
彼ら自身が言っていたように、千秋芸能のタレントは皆、顔で食べている。
しかし彼女が求めているのは演技力と才能のある俳優であり、容姿のお祭りを撮影したいわけではない。
「どうしたの?私は真剣に準備しているよ」と藤崎千明は言った。これらの俳優を選ぶだけでも彼女はかなり心を砕いたのだ。
工藤みやびは彼を相手にする気がなく、設定された俳優リストを直接取り、自分で特徴のある俳優の名前を書き直した。
「私はこれらの俳優が欲しい」
藤崎千明はそれを受け取って見た。「坂口飛羽が主役で、私は何を演じるの?」
千秋芸能の堂々たる社長である彼が、主役すら演じられないとは。
「あなたには脇役を残しておいたわ」工藤みやびは彼の名前を指さした。
藤崎千明は自分に割り当てられた役を見て、その場で抗議した。
「これは精神病患者じゃないか、全然かっこよくない。演じたらファンが抗議するよ」
工藤みやびは歯ぎしりしながら忠告した。
「三の若様、青春はほんの数年よ。容姿で売るのは数年で十分でしょ。実力派に転向できないの?」
彼のその容姿もあと数年売れば、人々も飽きるだろう。