「……」藤崎雪哉は黙り込んだ。
工藤みやびは彼の様子を面白そうに見つめ、もうこれ以上彼と相談することにこだわらなかった。
「わかったわ、とりあえずこの問題は置いておきましょう」
どうせ、今は子供を作ることができないのだから、結婚してから考えればいい。
藤崎雪哉は彼女の額に軽くキスをして、提案した。
「この二日間の休みを利用して、どこか旅行に行きたい場所はある?」
これまで、彼らはそれぞれの仕事で忙しかった。
彼女は前から旅行に行きたいと言っていたので、この機会に出かけるのはちょうどいいだろう。
工藤みやびは彼を睨みつけた。「明日は病院に本間壮佑を見舞いに行くの。彼はまだ病院に入院しているのよ。私たちが旅行になんて行けるわけない」
それに、本間夢から連絡があって、師匠の古傷の回復が思わしくないとのことだった。
藤崎雪哉は仕方なく軽くため息をついた。今回彼女を救出できたのは、彼らの力が大きかったことは確かだ。
彼女が見舞いに行くのは当然のことだろう。
工藤みやびは彼の落胆した様子を見て、笑いながら言った。
「今は行けないけど、結婚してハネムーンに行きましょう」
彼女も彼と一緒に誰にも邪魔されない場所で休暇を過ごしたいと思っていた。
しかし、本間壮佑はまだ怪我で入院しているし、彼女が行方不明になっていた間、石橋林人のところにも山積みの問題が残っているはずだ。
こんな時に、何も考えずに旅行に行く気にはなれない。
藤崎雪哉は彼女を抱きしめて部屋に戻りながら、何気なく言った。
「彼らに、これからも藤崎家に残る気があるかどうか聞いてみてもいいよ」
工藤みやびは少し驚いた。「藤崎家に残る?」
「工藤家とドランス家が彼らを追っているんだろう。今回彼らが君を救ってくれたことを考えれば、藤崎家は彼らに保護を提供できる」と藤崎雪哉は言った。
「それは…彼らと相談してみるわ」と工藤みやびは答えた。
実は、彼女も前からこのことを考えていて、彼らを藤崎家に留めておく方法を探っていた。
日本の藤崎家にいれば、彼らを守ることができるはずだ。
しかし、藤崎雪哉は疑り深い人で、彼らの身元や経歴がはっきりしなければ、彼らを留めておくことはできないだろう。