「……」藤崎雪哉は黙り込んだ。
工藤みやびは彼の様子を面白そうに見つめ、もうこれ以上彼と相談することにこだわらなかった。
「わかったわ、とりあえずこの問題は置いておきましょう」
どうせ、今は子供を作ることができないのだから、結婚してから考えればいい。
藤崎雪哉は彼女の額に軽くキスをして、提案した。
「この二日間の休みを利用して、どこか旅行に行きたい場所はある?」
これまで、彼らはそれぞれの仕事で忙しかった。
彼女は前から旅行に行きたいと言っていたので、この機会に出かけるのはちょうどいいだろう。
工藤みやびは彼を睨みつけた。「明日は病院に本間壮佑を見舞いに行くの。彼はまだ病院に入院しているのよ。私たちが旅行になんて行けるわけない」
それに、本間夢から連絡があって、師匠の古傷の回復が思わしくないとのことだった。