工藤みやびは黙り込み、クッションを抱きながら深いため息をついた。
「彼と私の手元の仕事が一段落したら、また話し合おう。」
最近は映画のポストプロダクションで彼女が直接監督しなければならないことが多く、彼も会社のいくつかの国際プロジェクトの協力で忙しくしていた。今はあの件について冷静に話し合える時ではなかった。
「気楽に考えなよ、本当にやっていけないなら別れればいいじゃない、世の中には男はいくらでもいるわ。」
本間夢は軽快な口調で言った。「今はおじさまタイプが好きなの?姉さんがイケメンおじさまをたくさん紹介してあげるわ…」
「用事がないなら切るわ。」
工藤みやびは話題がまた逸れそうな予感がして、すぐに電話を切った。
世の中には男はいくらでもいるけれど、藤崎雪哉はたった一人だけ。そして彼女が最も愛しているのもこの一人だけだった。