「あなたは……子供が嫌いじゃなかったの?」工藤みやびは尋ねた。
「あなたが好きならそれでいい」
藤崎雪哉はそう言うと、車から降りて車の前を回り、彼女のためにドアを開けた。
工藤みやびは車から降りると、彼の腰に抱きついた。
「私が好きなのはあなた、一番好きなのはあなただけ」
彼女が今子供が欲しいと思うのは、彼の家族が彼らの関係に反対した時に、少なくとも子供のためにあまり彼らを苦しめないようにと思ってのことだった。
藤崎雪哉は自分の胸に顔を埋める少女を見下ろし、手を伸ばして彼女の弱々しい肩を抱き、頭を下げて彼女の柔らかい髪にキスをした。
やはり、本間壮佑が言っていたあの件のせいだ。
医者は彼女がストレスを抱えていると言った。最近の撮影現場での仕事以外に、おそらくそれ以上にあの件のせいだろう。
彼は彼女に話してほしいと思っていたが、何度も彼女に尋ねてさらに大きなプレッシャーをかけたくはなかった。
藤崎千颯は彼らが夕食に戻ってくるのを待っていた。彼らの車が戻ってきたのを早くから見ていたが、なかなか家に入ってこなかった。
そこで、直接車庫まで探しに行った。
来てみると、二人は車から降りてまた抱き合っていて、いつまでも離れる気配がなかった。
「二人ともいい加減抱き合うのはもういいだろ、飯食うのか食わないのか?」
彼らが戻ってこないので、彼も一人で先に食べる勇気はなかった。彼らに残り物を食べさせるわけにもいかないだろう。
もう半年も付き合っているのだから、とっくに熱烈な恋愛期は過ぎているはずなのに、まだちょくちょくキスしたり抱き合ったり、飽きないのだろうか?
工藤みやびはようやく手を離し、藤崎雪哉は薬を手に取り、もう一方の手で習慣的に彼女の手を取って一緒に戻った。
藤崎千颯は彼らの後ろを歩きながら、二人の背中を見て、複雑な気持ちでため息をついた。
妊娠の件、もし本当に彼らがコンドームを破ったことを兄貴が発見したら、兄貴の異常さからして彼らを殺さないまでも、半殺しにはするだろう。
ふん、お義姉さんが見つかっても、何も問題ないんだろうな。
やっぱり妻だけが可愛いってことか、弟は拾ってきたようなものだ。
食卓では、藤崎千颯は空気のような存在として扱われ、自分から察して食事を終えると書斎に行って残業をした。