親友?神崎家の三人だけでなく、皆が顔を見合わせた。鈴村昌也と三神家にはこれほど深い縁があったとは。
鈴村昌也は業界でも無名ではなかった。彼は昔、一代で小さな会社を立ち上げ、一人娘の鈴村瑞希、つまり神崎弥香の母親がいた。瑞希が結婚してまもなく、鈴村昌也はこの小さな会社を娘婿の藤上健二に託し、数年後、病に倒れて亡くなった。
藤上健二は有能で頭が良く、彼が引き継いだ後、この小さな会社を次第に大きくし、後の藤上財団となった。藤上財団は最初、海浜市でかなり繁盛していたが、事業転換の時期に、藤上健二の一つの判断ミスにより、藤上財団は破産へと向かった。
そのため、藤上健二はこの重大な打撃に耐えられず、飛び降り自殺をした。彼の死後、鈴村瑞希は悲しみのあまり、重度のうつ病と躁病を患った。