老夫人が主席に着くと、皆ようやく席に着いた。
宴会場が静かになった後、三神家の執事が三神老夫人を代表して挨拶の言葉を述べた。その内容は大まかに言えば、皆様の来訪を歓迎し、三神家は皆と友好関係を結び、互いに協力して共に繁栄していきたいというものだった。
彼がそれを言い終えると、周囲を見回し、すぐに付け加えた。「我が家の老夫人には親友がおりまして、彼女は香りの調合の無形文化遺産継承者でした。彼女の生前最大の心残りは、香りの調合の技術を継承する後継者を見つけられなかったことです。そのため、我が家の老夫人は特別に海浜市での今回の香道大会を主催することにしました。ここにいらっしゃる皆様は各業界の優れた方々で、社会への影響力も大きいので、どうか皆様のお力添えをいただき、この大会を広く宣伝していただき、我が家の老夫人の親友のために香りの調合の継承者を見つけ出すお手伝いをしていただければと思います。」
この言葉が発せられると、会場にはすぐに議論の声が上がった。
「海浜市で第13回香道大会が開催されることは知っていたが、この大会はあまり人気がなく、参加者も少ないんだ。今年の大会は三神家が後援していると今知ったよ。賞金は例年よりもずっと豪華になるだろうね。」
「三神家がこの大会をこれほど重視しているなら、大会で勝ち抜いた者は必ず三神家から大きな支援を受けるだろう。将来は無限の可能性があるね。」
「そうだね、そうだね。帰ったら秘書に会社内でこの分野の人材がいないか探させよう。大いに支援して、好みに投資するというわけだ。これを機に三神家と関係を築けるかもしれないしね。」
皆が議論し、興奮していた。
後列に座っていた神崎家の三人も、話を聞いて心が動いた。
「どうやら私たち神崎家と三神家は本当に縁があるようね。」神崎貴美子は眉を上げ、興奮した表情で言った。「翔、弥香は大学で香りの調合を学んでいたじゃない。しかも彼女はかつてあれほど多くの賞を獲得したのよ。帰ったら彼女をうまくなだめて、今年の香りの調合大会に参加するよう準備させなさい。」
「それはいいね、翔、帰ったら弥香とよく話し合って、これは貴重なチャンスだよ。」神崎文雄も同意した。