第93章 神崎弥香と実の母親の対面!

この言葉が出るや否や、会場からは賑やかなからかいの声が上がった。

神崎弥香はハッとして我に返り、無意識に顔を彼の方へ向けると、ちょうど彼の隠すことなく真っ直ぐに向けられた黒い瞳と目が合った。二人の視線はまるで電光石火のように交差した。

三神律のいつもの漆黒で冷たい目元が、今は柔らかな光を帯びていた。神崎弥香の心の底に波紋が広がった。

会場からのからかいの声はさらに大きくなっていたが、二人はまるで聞こえないかのように、目には互いの姿しかなかった。彼らは長い間見つめ合い、三神律がようやくゆっくりと顔を前に向けた。

彼が薄い唇を開き、何か言おうとした時、西田秀子が彼の側にやってきた。

人々は三神家の老夫人が来たのを見て、瞬時に静かになった。

西田秀子は皆に向かって、笑みを浮かべながらも厳かに言った。「皆様、お忙しい中、今日の大会にお越しいただき感謝申し上げます。これは本来単なる大会のはずでしたが、思いがけず皆様と共に一つの騒動を見ることになりました。今や波風も収まり、是非はともかく皆様の心の中では明らかでしょう。」

彼女は後ろの審査員席に向き直り、厳しい声で尋ねた。「在席の皆様にお聞きしたいのですが、今日の大会の結果は公正だったでしょうか?三神家はスポンサーとして関与し、誰かを贔屓するよう皆様に働きかけたことはありますか?」

審査員席の主席審査員はすぐに立ち上がり、真剣に言った。「香道協会の一員として、私の名誉にかけて皆様に保証します。今回の大会は絶対に公正、公開、公平であり、いかなる裏取引もありませんでした。」

彼の目が一瞬揺らぎ、すぐに付け加えた。「私たちの最終判断では神崎弥香と鈴木智恵については少し迷いがありました。二人は甲乙つけがたく、優劣をつけるのが難しかったのです。神崎弥香の作品は独創的でしたが、時間がかかりました。鈴木智恵は標準的でしたが、最短時間で仕上げました。当時、審査員の間で意見が分かれ、確かに三神社長の意見を求めました。これは理にかなったことです。そして三神社長が選んだのは鈴木智恵でした。私たちは神崎弥香という才能を惜しみ、最終的に話し合って共同優勝という結果を出しました。」