第183章 優秀

言葉を聞いて、渡辺康一はコーヒーカップを持とうとする動きを一瞬止めた。

彼は軽く咳払いをして、少し気まずそうに藤原羽美を見た。「藤原さん、これは……」

藤原羽美の顔には礼儀正しい笑顔が浮かんでいた。「渡辺さん、ご心配なく。私はあなたを責めているわけではありませんし、もう十代の少女ではないので、感情というものが自分をどれだけ磨いても、勝算が増すわけではないこと、それがコントロールできないものだということを理解しています」

「藤原さんがそう理解してくださっていれば」

藤原羽美は目を伏せ、独り言のようにも感慨深げにも聞こえる声で言った。「それに、優奈さんは努力すれば、あと二年もすれば、私の今の立場に劣らないところまで行くかもしれません」

渡辺康一は目の前のコーヒーを持ち上げ、藤原羽美に向かって示した。「藤原さん、コーヒーでお酒の代わりに、あなたの正直さ、優秀さ、優しさ、礼儀正しさに乾杯します!」