林知恵は草刈誠に後ろへ引っ張られ、意識が朦朧とする中、彼女は拳を強く握り締め、指先が手のひらに食い込み、痛みが走って彼女の思考を呼び戻した。
彼女は自分を救わなければ!
林知恵はドアノブを掴んで自分の体を支え、自分を救うことができるものを探した。
センターコンソールの上のクリスタルオブジェが彼女にチャンスを与えた。
しかし、手を伸ばして届こうとしても、いつもほんの少し足りなかった。
彼女は歯を食いしばり、草刈誠の力に抵抗しながら、指先を少しずつ伸ばしてクリスタルオブジェに届かせた。
滑り止めマットから掴み上げた瞬間、彼女は力いっぱい後ろに叩きつけた。
ドンという音と共に、草刈誠は闇うめき声を上げ、林知恵から手を放した。
林知恵はその隙にドアロックを解除し、転がるようにして車から這い出した。