第15章 林知恵が逮捕される

林知恵は宮本深に連れられて折木和秋のアパートに行くことを余儀なくされた。

エレベーターを出るとすぐに、床に散らばった血痕と、ドアに塗られた赤いペンキが目に入った。

すべてが非常に衝撃的だった。

林知恵が反応する間もなく、宮本深はすでにアパートに駆け込んでいた。それに続いて男の悲鳴と折木和秋の泣き声が聞こえてきた。

「三男様！怖いです！私、怖くて……」

すすり泣く声が林知恵の思考を現実に引き戻した。彼女は急いでアパートに入った。

目に飛び込んできたのは床に倒れた男だった。彼は凶悪な顔つきで、口から血を吐き、手にはまだしっかりとナイフを握りしめていた。

向かい側では、折木和秋が血を流す腕を押さえながら、弱々しく宮本深の腕の中に寄り添い、美しい顔には悲しみが満ちていた。

男はまだ折木和秋を罵っていた。「この淫売！男を誘うのが上手いくせに、俺を一発楽しませるのがそんなに嫌か？お前はそういう女だろ！」

折木和秋は涙ぐみながら言った。「違う、違うわ、私はそんな……」

男はひひっと冷笑した。「嘘つくな！ネットでみんなそう言ってるぞ！お前は簡単に寝られるって誰かが教えてくれたんだ！それに毎日男がお前の部屋に出入りしてるじゃないか、何を清楚ぶってるんだ！」

折木和秋は宮本深の胸元の服をつかみ、恐怖に震えながら言った。「あなた、あなたが……私を監視してたの！私の部屋に出入りしているのは三男様だけよ、なぜ私に泥を塗るの？私の家には監視カメラがあるわ、全部調べられるわよ！」

男は一瞬ひるみ、明らかに視線をそらした。

宮本深はそれに気づくと、ドアの外に向かって声をかけた。「田中慎治。」

田中慎治が姿を現し、男が反応する間もなく、完全に彼を制圧して床に押さえつけた。

「誰に送り込まれた？」

男は口が堅く、血の混じった唾を吐いただけで何も言わなかった。

しかし、林知恵の思い違いでなければ、男が彼女を一瞥したように感じた。

おそらく前世で多くの苦しみを経験したため、現在の彼女は警戒心が強かった。

一目見ただけで、何かがおかしいと感じた。

彼女はバッグを握りしめ、無意識に宮本深を見た。

宮本深は折木和秋を守るように、まるで宝物を保護するかのように、長い手で彼女をしっかりと抱きしめていた。