第16章 宮本深を問い詰める

山下穂子は急いで警察署に駆けつけ、林知恵の手を見て、顔が青ざめた。

「どうしたの？退院したばかりなのにまた何かあったの？あなたはデザイナーなのよ、手はとても大事なのに！」

山下穂子にはわかることが、宮本深にはわからないはずがない。

しかし彼は男の刃先を彼女に向けた。

そうであるなら、騒ぎ続けよう。

林知恵は髪をさらりと整え、言った。「大丈夫よ。お母さん、手短に言うけど、私が調べてほしいと頼んだこと、わかった？」

山下穂子は林知恵の手を握り、心配そうに涙を流し、しばらくしてから反応した。

「ええ、調べたわ、ほら見て。」

山下穂子は携帯を取り出し、中身を林知恵だけに見せた。

林知恵はそれを見終わると、気持ちがかなり楽になった。「やはりそうだったのね。」

山下穂子は唇を引き締めて言った。「知恵、これからどうするの？草刈誠の件が終わったばかりなのに、またトラブルに巻き込まれて、お爺様の性格からすれば、きっとあなたを追放するわ。」

「追放だけでは済まないでしょうね。」

彼女と山下穂子は視線を交わし、すべてを心の中で理解していた。

林知恵と宮本深のあの夜の出来事を、お爺様は知っている。彼は苦労して宮本深を育て上げたのだから、この件が宮本深の人生の汚点になることは絶対に許さないだろう。

お爺様はただ彼女を排除する機会を待っているだけだった。

草刈誠、折木和秋……

彼女はこれらの人々の手の中の蟻のようなもので、いつでも簡単に潰されてしまう。

林知恵は目を閉じると、灼熱の痛みが傷口に広がり、まるで猛火が彼女の肉体を焼き尽くすようだった。

山下穂子は少し怯えながら彼女の手をきつく握り、声を低くして言った。「知恵、ごめんなさい、お母さんがあなたにお見合いを強いるべきじゃなかったわ。そうしなければ、こんなトラブルに巻き込まれることもなかったのに。」

林知恵は逆に彼女の手を軽く叩いた。「お母さん、私を信じて。」

山下穂子は臆病で弱気だが、林知恵に対する気持ちは本物だった。

彼女にお見合いと結婚を強いたのも、宮本家の人々が彼女と宮本深の件を追及し続けることを恐れてのことだった。