第34章 必ず素晴らしい人がいる

「よかったら、触ってみる?」林知恵は頬を膨らませながら排骨を噛んでいた。

手を伸ばそうとした人もいたが、別の寮友に引き戻された。

「林知恵、来てくれてありがとう。今まで私たちの寮はいつも人が揃わなくて、他の寮が羨ましかったんだ」

「そうよね、なぜかあなたはいつも深田紅と一緒にいたわね、彼女なのに...あいたっ」

「何も食べないの?」

もう一人の寮友が場を和ませるように笑った。

林知恵は彼女たちを見て、笑いながら言った:「あなたたちが何を言いたいのか、もう分かってるわ。実は私があなたたちにお礼を言うべきなのよ」

「え?なんで?」純粋な寮友が首を傾げて聞き返した。

「こんなに長い間、私は人を見誤っていたのに、あなたたちはまだ私を食事に誘ってくれた。本当にありがとう」

前世で助けてくれたことにも感謝してる。

「あなたが気づいてくれて良かったわ。深田紅はあなたの鍵を複製して、あなたがいない時によく私たちの寮に来てたのよ。あなたの許可を得ていると言われて、私たちも何も言えなかった」

「それに、彼女はいつもあなたの前で可哀想な振りをして、貧乏だと装っていたわ。以前私たちが注意した時、あなたは気にしすぎだと言ったわね。実は彼女は裏であなたが彼女を貧しいと思って、使い走りにしていると言いふらして、みんながあなたと関わらないようにしていたのよ。私たち同じ寮の人間はあなたが彼女に一番優しかったことを知ってる。家から何か良いものを持ってきたら、ほとんど全部彼女にあげていたじゃない」

二人は話すほど腹が立ってきた。もう一人の豪快な寮友が手を振った。

「もうそんな話はやめましょう。せっかくの食事が台無しになるわ」彼女はメニューを林知恵に渡した。「何が食べたいか見てみて、遠慮しないで」

「うん」林知恵はメニューを開いたが、食欲はなかった。思い切って言った。「お酒を飲もうか」

「いいね」

すぐに一人二缶のビールを注文した。多くはなく、酔うほどではない。

しかし飲み始めると、どんどん量が増えていき、最後には全員が半分夢見心地になった。

林知恵は頭を支え、心の中の悔しさを発散する場所がなく、頭を傾けて隣の寮友の肩に寄りかかった。

「地元に帰って就職しないで。ここに残りたいんでしょ」