第28章 悪夢

林知恵はびくっとして、顔が赤くなるのを避けられなかった。

彼女は知らなかった。この細い扉の隙間から、鏡に映った自分の姿が見えていたことを。

長い髪が白い背中に垂れ、腕で隠した胸元がかすかに見え、動くたびに揺れて、まるで次の瞬間に制御を失いそうだった。

宮本深は親指の指輪をきつく握り、ある種の衝動を抑えた。

林知恵は言い争いに負け、力強くドアを閉めた。

手の中の男性用シャツとズボンを見て、彼女はそれを着るしかなかった。

再び浴室から出ると、宮本深はソファに座ってお茶を飲んでいた。

お茶の香りが広がり、人を瞬時に落ち着かせた。

林知恵が近づくと、お茶が熱すぎたのか、宮本深は彼女を一瞥し、手の中のお茶を半分こぼした。

しかしすぐに、彼は平然と言った：「お茶を飲め」

茶碗を置くと、彼は何も言わずに風呂に入りに行った。

林知恵はお茶を手に取り一口飲んだが、まだ飲み込む前に吐き出した。

透明なお茶を見つめ、彼女は長い間我に返れず、目が少し潤んでいた。

このお茶...彼女が最も嫌いなものだった。

この種類のお茶が悪いからではない。

逆に、このお茶はとても高価で、一般家庭では手が出ないものだった。

彼女が嫌いなのは、かつて誰かに「お前にはふさわしくない」と言われたからだ。

宮本家に来たばかりの頃、彼女は多くのことを理解していなかったが、慎重に行動しても間違いを犯すことがあった。

彼女はよく母親と宮本石彦が接待で疲れているのを見て、二人にリラックスしてもらおうとお茶を淹れようとした。

彼女は茶室に行き、たくさん並んだ茶葉の缶を見て、何を選べばいいか分からず、適当に取った。

お茶を淹れ始めたところ、女中が飛び込んできて叱りつけた。

「あなたの口はなんて欲張りなの？これはあなたが飲むものじゃないわ！あなたを売っても、この値段には見合わないわよ！」

「一つ買ったら一つ無料だと思って、自分が大したものだと思ってるの？あなたのお母さんでさえ、私に丁寧にお願いしないとお茶の葉をもらえないのよ」

「あなた、盗もうとしたの？」

「盗む」という言葉に、林知恵は顔色を失い、宮本石彦が彼女もこれらのものを使っていいと言ったと必死に説明した。

女中はまったく聞かず、ポットのお茶を全部彼女にかけた。