呼吸できるようになった林知恵は冷や汗をかきながら、途切れ途切れに言った。「私、私の手が……」
突然動きを止めた宮本深は、荒い息を吐きながら、首筋の血管を脈打たせ、やっと体を起こして彼女の手を取った。
林知恵は突然体を翻して布団にくるまった。
駆け引きを覚えたようだ。
宮本深は一瞬止まったが、怒る様子もなく、そのまま'粽'の横に横たわり、手を伸ばして人と布団ごと抱きしめた。
彼は横向きに頭を支え、彼女の耳元に近づいて低い声で言った。「何回逃げられると思う?」
林知恵は反論したかったが、体がそれを許さなかった。さっきの一瞬で残っていた意識をすべて使い果たしていた。
今、彼女は宮本深の声がどんどん遠くなっていくのを感じ、最後には完全に暗闇の中に落ちていった。
深夜、林知恵の下がっていた熱が再び上がり、彼女は朦朧としていた。
宮本深が本当に何かをしようとしても、彼女は抵抗できなかっただろう。
しかし彼は何もしなかった。
それどころか一晩中、誰かが彼女の額を撫でているような気がした。
彼女は自分が病気で頭がおかしくなったのか、あるいは前世で愛されることを渇望しすぎて幻覚を見ているのかもしれないと思った。
翌朝目覚めたとき、宮本深はベッドの傍にいなかった。彼女はお腹を押さえ、トイレが急だった。
だから他のことは気にせず、直接洗面所に駆け込んだ。
「あっ!」
林知恵は目の前の光景に驚いて、もう尿意も忘れそうになった。
宮本深が入浴中だったのだ。
彼女はすぐに身を翻して逃げ出そうとしたが、寝室のドアが誰かに押されて開いたので、反射的に浴室のドアを閉めた。
ドアの外から折木和秋の声が聞こえた。
「三男様、朝食を作ってきましたよ。起きていますか?」
林知恵は唇を噛み、ドアを開ける勇気も、振り返る勇気もなかった。
彼女は湯気の中に身を隠し、自分の存在感を薄めようと努力した。
しかしその時、背後の熱さが来るべきものが来たことを告げていた。
濡れた腕が背後からドアに寄りかかり、彼女を狭い角に閉じ込めた。
林知恵は体を震わせ、まだ完全に回復していない体は、少し立っていられないほどだった。
背後の人が彼女の腰を抱き、湿った熱い胸が彼女の背中に押し付けられ、すぐに二人を隔てていた布も濡れ、まるで唯一の障壁もなくなったかのようだった。