林知恵は無表情で観客を見つめ、重々しいトロフィーを手に受け取った。
無形の手が彼女の首を締め付けていた。
窒息感は、運命から逃れることがいかに難しいかを物語っているようだった。
特に、後ろ盾のある相手に立ち向かう時は。
しかし、次の瞬間、彼女はトロフィーをしっかりと握りしめた。
前世では、彼女はコンテストに参加する資格すらなかったが、今世では折木和秋を脅かしてトロフィーを手に入れた。
少なくとも、あの忌まわしい運命はすでに軌道を外れ始めていた。
いつか、それは彼女の望む軌道に乗るだろう。
林知恵は顔を上げ、客席に向かって微笑んだ。観客に向けてであり、また墨のような瞳の持ち主にも向けられていた。
宮本深。
もう誰も彼女を倒すことはできない、彼女自身が倒れない限り……。
客席では。
田中慎治が宮本深の側に歩み寄り、少し身を屈めて耳元で報告した。
「三男様、手配は済みました」
「ああ」
宮本深は茶碗を持ち上げ、林知恵と視線を合わせ、目を細めて不快感を隠した。
彼女の笑顔は照明の下で絶世の美しさを放ち、すべての男性の視線を引き寄せていた。
彼の耳には、隣の男たちが林知恵の連絡先をどうやって聞き出すかを冗談交じりに話し合う声さえ聞こえてきた。
彼が冷たい目で一瞥すると、数人はたちまち黙り込んだ。
コンテストが終わりに近づき、折木和秋は興奮してインタビューエリアに向かった。全世界に自分の勝利を知らせたいという思いに駆られていた。
しかし、彼女が一歩踏み出したとき、雪村真理の声がホール全体に響き渡った。
「ちょっと待ってください。もう一つお知らせがあります」
「今回のコンテストでは特に優秀な参加者が揃ったため、スタジオのスタッフと相談した結果、上位3名全員がスタジオでインターンシップを行えることになりました。将来、より多くの優秀なジュエリーデザイナーが誕生することを期待しています」
言葉が終わるや否や、林知恵はしばらく躊躇し、幻聴かと思った。
隣から3位の田中悦子の悲鳴が聞こえて初めて現実だと気づいた。
彼女は……雪村真理のスタジオでインターンシップができるようになった!
喜ぶ者もいれば、悲しむ者もいる。
元々唯一無二だった折木和秋は、今や顔色が青ざめ、爪がトロフィーに食い込みそうなほど力を入れていた。