第38章 予想外

林知恵だけが知っていた、彼女の星奈は世界で最高の娘だということを。

星奈が物心ついてからの誕生日は、いつも彼女が楽しく幸せでいられるようにと願うものだった。

星奈はいつも言っていた。「ママ、これからは泣かないでね?」

彼女はこうも言った。「ママ、みんなはパパが王冠をかぶせてくれるんだよ。」

後に彼女はパパが自分を好きではないことを理解し、だからママがかぶせてくれる方が綺麗だと言うようになった。

そう思うと、林知恵の目が一瞬赤くなったが、彼女は星奈にこれからは泣かないと約束していたので、最後には堪えた。

彼女は手を上げて頭の王冠に触れ、少し顔を上げた。

星奈、ママが王冠を作ったよ、気に入った?

先ほどの出来事は別として、雪村真理は林知恵の能力を高く評価していた。

デザインにしても、アイデアにしても、折木和秋よりも斬新だった。