宮本康弘は黙って林知恵をたくさん助けてくれたので、彼女も一枚の写真のために彼を困らせるのは気が引けた。
しかし、はっきりさせるべきことははっきりさせなければならない。
お兄さんはお兄さんであって、それ以外の何者でもない。
しばらくして、宮本康弘は笑顔の絵文字を送ってきた。
「早く休みなさい」
「はい」
WeChatを閉じると、林知恵は何気なく不在着信を確認した。
宮本深の番号を見て、彼女の指は一瞬止まったが、結局は携帯を置いて、お風呂に入って寝ることにした。
翌日早朝、林知恵は起きてキッチンへ向かった。
道中、彼女はどんな口実で使用人にキッチンを貸してもらおうかと考えていた。
これまでは、何か食べ物を取りに行くだけでも冷やかされていたのだから。
しかし意外なことに、キッチンに入ると忙しく働いているのは見知らぬ顔ばかりだった。