第43章 私に頼むのはそんなに難しい？

残念ながら、この人生で林知恵が最も頼みたくない人物が宮本深だった。

彼女は視線を戻し、目の前の白酒を見つめ、そのまま頭を傾けて飲み干した。

宮本深が唇に当てていた茶碗が止まり、冷厳な姿から冷たい気配が漂った。

しかし林知恵の前にいる三人の男性は雰囲気の異変に気づかず、どっと笑った。

「後輩、酒強いね。さあさあ、こっちの一杯も飲んでよ」

「彼らのを飲んだなら、俺のも飲まなきゃ！そうしないと俺の顔を立ててくれないことになるぞ！」

こうして林知恵は立て続けに三杯の酒を注がれた。

喉が辛くて言葉も出ず、両手で拳を握る力さえ失われていた。

彼女の頬は赤く染まり、もともと絶世の美しさを持つ顔は今や熟した桜のようで、魅惑的な輝きを放ち、周囲の男たちの目は飢えた狼のようだった。

目の前の三人の男は互いに顔を見合わせ、淫らな笑みを浮かべたが、学長と宮本深がいるため、あまりにも無礼なことはできなかった。

だから彼らはまず林知恵を酔わせ、後で何か理由をつけて彼女を連れ出そうと考えていた。

林知恵の隣に座る男は、彼女に酒を注ぎながら、さも何気なく手を彼女の椅子の背に置き、時々彼女の背中に触れていた。

「後輩、コンテストで2位を取ったって聞いたよ。これはちゃんとお祝いしないとね。さあ、もう一杯飲もう」

林知恵は吐き気を堪えながら、体を少し動かして彼の手を避けた。

しかし彼はその隙に直接彼女の肩に手を回し、彼女が逃げられないようにして、自分の脂ぎった顔を彼女に近づけ、にやりと笑った。酒の臭いと濃い煙草の匂いがした。

それらが混ざり合い、林知恵は吐きそうになった。

彼は林知恵の抵抗を無視し、顔を彼女の肩の肌に擦り寄せようとした…

ばさっという音。

林知恵は男を押しのけて立ち上がったが、学校の祝賀会を台無しにしたくなかった。

「ちょっとトイレに行ってきます」

彼女はめまいを堪えながら、足元がふらつきながら個室を出た。

林知恵はトイレに逃げ込み、冷水で顔を何度も濡らして少し正気を取り戻した。

考えた末、彼女は携帯を取り出して時間をセットした。

それから頭をさすり、意識を保ちながらトイレを出た。

次の瞬間、林知恵は目が回るような感覚に襲われ、腰に腕が回され、トイレの横の死角へと軽々と連れて行かれた。