深田紅は林知恵がミルクを手に取るのを見て、我慢できずにミルクパックを軽く叩いた。
「乾杯」
深田紅が飲もうとしたとき、林知恵は彼女の不注意につけ込み、彼女の手からミルクを奪った。
「このブランドのミルクはいくつか味があるんだよね。どの味が好きかな?あら!深田紅、同じ味を買ったの?」
深田紅は一瞬慌てて、林知恵の手をじっと見つめ、作り笑いで言った。「私たち似た味覚だから、同じものを買ったの」
そう言うと、彼女は林知恵の左手からミルクを奪い返し、すぐに一口飲んだ。
まるで林知恵が交換しようとするのを恐れているかのように。
林知恵も杯を上げて一口飲んだ。「ごちそうさま」
深田紅はストローから液体が林知恵の口に吸い込まれるのを目の当たりにして、とても嬉しそうに笑った。
「どういたしまして、気に入ってくれて良かった」
「じゃあ、先に入るね」
林知恵は平然と待合室に入っていった。
ゆっくりと閉まるドアを見ながら、深田紅は抑えきれずにプッと吹き出した。
……
コンテストが始まった。
会場は上も下も大いに盛り上がり、休憩室も賑やかだった。
ほとんどの参加者が折木和秋の周りに座り、彼女の美しさやドレスの素晴らしさを褒め称えていた……
中には折木和秋が間違いなく一位だと断言する人もいた。
折木和秋は謙虚に微笑んだが、その目は特に得意げに林知恵を見ていた。
何人かの参加者が順番に舞台で作品を披露した後、休憩室の雰囲気も次第に静かで緊張したものになっていった。
コンテストに参加した以上、誰もが賞を取りたいと思っているのだ。
折木和秋の番になったとき、林知恵はお腹を押さえて飛び出していった。
折木和秋は口元を隠して軽く笑った。
林知恵、私がこんなにカメラの前に出させるわけないでしょう?
あなたがあまりにも目立ちすぎるのが悪いのよ。
作品も人も、あなたには決して私の注目を奪わせないわ。
折木和秋は最初から林知恵を舞台に上げるつもりはなく、すべての手順を考えていた。
林知恵は少し賢いかもしれないが、彼女と比べれば、はるかに及ばない。
このとき、司会者が折木和秋の名前を呼び、彼女は優雅に立ち上がり、ゆっくりと舞台へと歩いていった。
折木和秋が舞台に上がると、大きな拍手が沸き起こり、彼女は注目の的となった。