林知恵は目を凝らして一瞬考え込み、前世の出来事を口にしてしまったことに気づいた。
彼女は自分の手を引っ込めようとしたが、彼にさらに強く握られてしまった。
「話せ」
「なぜなら……以前、あなたが咳をするたびに、私はあなたの体から枇杷の葉の香りを嗅いでいたから」林知恵は手を動かした。「痛い」
宮本深は彼女の手を離さなかったが、力を少し緩めた。
彼は興味深そうに彼女に近づいた。「毎回?そうか?」
林知恵は唇を噛み、自分が一つの穴を埋めたと思ったら、また新しい穴を掘ってしまったことに気づいた。
彼女は顔をそむけ、もう一言も話すまいと決めた。
宮本深の彼女を見る目は次第に熱を帯び、すでに熱くなっていた体は今や熱いだけでなく、非常に緊張していた。彼女を見つめる瞳の中で、点々と散らばっていた光が急速に集まってきた。
無意識のうちに、林知恵は迫ってくる熱気を感じ、顔を向けると、男の顔がすぐそこにあった。
男は目を伏せて彼女の赤く潤んだ唇を見つめ、濃い黒い睫毛が目の奥に浮かぶ感情を隠していた。言葉では表せない致命的な魅力があった。
林知恵は思わずシーツをぎゅっと握りしめた。慌ててはいけない、絶対に慌ててはいけない……
しかし彼女が予想外だったのは、宮本深が以前のように何も言わずにキスしてくるのではなく、むしろ二人の距離を広げたことだった。
「私は病気だ」彼はかすれた声で言った。
「……」
林知恵はハッとして、シーツをさらに強く握りしめた。
目を伏せると、ちょうど彼の点滴を受けている手に血が逆流しているのが見えた。
彼女はすぐに手を伸ばして彼の手を支えた。「血が逆流してる、早く下げて」
彼の手のひらに触れて初めて、彼の病気が彼女の想像以上に深刻であることに気づいた。肌が一面に熱かった。
林知恵はしばらく躊躇した後、薬袋を手に取り、中から解熱シートを一枚取り出した。
「おじさま、これを貼ると少し楽になりますよ」
「ああ」宮本深は返事をした。
林知恵はフィルムを剥がし、立ち上がって彼の額に貼ったが……小さすぎた。
よく見るとパッケージは子供用だった。
宮本深の顔に小さな解熱シートが貼られているのを見て、彼女は思わず笑ってしまった。