第129章 スマホ強盗

林知恵のバッグには宮本深が残した腕時計がまだ入っていた。

彼が何故そんなことをしたのか、彼女には理解できなかった。

考えあぐねていると、折木和秋が手首を上げて皆に見せびらかした。

雪のように白い手首には幅広いダイヤモンドがちりばめられた腕時計が巻かれていた。バンドは一定の間隔でルビーが埋め込まれ、文字盤までもがルビーとダイヤモンドで埋め尽くされていた。

値段は安くない。

同僚が興味深そうに尋ねた。「三男様は本当に心を込めていますね、これはきっと安くないでしょう?」

折木和秋は手を引っ込め、目を上げて林知恵の手首を見渡し、ガラスのような唇に笑みを浮かべた。

「私が気に入れば、三男様は価格など気にしないわ。実は以前、三男様は彼と同じ女性用の時計をくれると言ったけど、私はちらっと見て気に入らなかったの。そしたら彼はオークションハウスでこのアンティークの時計を落札してくれたのよ」