食事の途中で、田中慎治がやってきた。
「捕まえました。彼らは林さんがお金持ちそうに見えたので、悪い考えを持ったと言っています」
林知恵の心が沈み、無意識に箸を噛みながら、目を上げて宮本深を見た。
彼女が強盗の話をした時、彼はまったく信じなかった。
今は……
「処理しておけ」宮本深は軽く言い、信じただけでなく、何も質問もしなかった。
林知恵の顔色が少し青ざめ、箸を置いて彼を見つめた。「おじさま、信じたの?」
「ああ」
宮本深は無表情で食事を続けた。
それを聞いて、林知恵は食欲を完全に失った。
「だから私の言葉は信じないのに、見たこともない他人が適当に言ったことは信じるんですね?」
「じゃあ、どういうことだと言うんだ?」彼はゆっくりと料理を箸で取り、彼女を見もしなかった。
林知恵は拳を握り締め、賭けに出ることにした。
「もし折木和秋だと言ったら?」
宮本深は眉をひそめ、その瞳は底知れぬ深い淵のようだった。
「今後は証拠のない話はするな」
林知恵は突然冷笑した。彼は信じていない。
彼女は冷たく立ち上がり、スマホを取り出して彼のスペアリブスープと薬の代金を送金した。
「行きます。おじさま、ごゆっくり」
そして去っていった。
宮本深はスマホの送金を一瞥し、箸と茶碗を置き、手を上げて田中慎治を呼んだ。
田中慎治は近づいて耳を傾けた。
……
スタジオにて。
林知恵は何事もなかったかのように自分の席に戻った。
座るとすぐに、誰かの視線が彼女の腕時計を見つめているのを感じた。
折木和秋だった。
林知恵は見なかったふりをして、バッグをテーブルに置き、手洗い場へ行った。
戻ってきたとき、彼女のバッグは誰かに触られており、中の古い携帯電話も交換されていた。
ふん。
折木和秋、やはりあなただったのね。
林知恵は何事もなかったかのように座り、携帯を取り出して確認し、何も気づかないふりをして仕事を続けた。
遠くで折木和秋が冷笑した。
……
仕事の後。
折木和秋は帰るとすぐに携帯修理の専門家を探し、林知恵の古い携帯のロックを素早く解除した。
彼女が抑えきれない笑みを浮かべながら携帯のギャラリーを開いたとき、目に入ったのは媚びを売る中年男性だった。
さらには見るに堪えない下半身の写真まであった。