ウェディングドレスショップは海外の一流ブランドが国内で唯一展開する実店舗だった。
ドレスを見るための予約だけでも1年前からしなければならないほどだ。
もちろん、宮本深のような身分の人間なら待つ必要はない。
ルーヴル美術館のように豪華な店内に入ると、マネージャーはすでに店内を貸し切り、待ち構えていた。
「当主様、三男様、三男夫人」
マネージャーは目端が利き、腕を組む二人を見て即座に呼び方を変えた。
折木和秋は恥ずかしそうに宮本深を見つめ、彼の返事を待ち、自分の立場を確かなものにしようとしているようだった。
宮本深は彼女に応えず、冷たい表情で言った。「今夜、海外とのビデオ会議がある」
言外の意味は時間を無駄にするなということだ。
マネージャーは戸惑い、思わず折木和秋を見た。