第203章 叔父は私たちとは違う種類の人間だ

林知恵はゆっくりと歩いてくる人を見て、警戒して二歩後ずさりした。

宮本康弘だった。

久しぶりに会うと、彼は少し痩せていた。

山下穂子の話によると、彼は宮本財団での職務を解任され、父親が残した株式も宮本当主に取り上げられたという。

彼は田中蘭華を連れて田中家に戻るしかなかった。いや、今や田中家も宮本深に買収されていた。

彼は株主の一人に過ぎなかった。

実際、林知恵にも分からなかった。なぜ当主が彼にこれほど冷たいのか。

我に返り、彼女は礼儀正しく頭を下げた。「お坊ちゃま」

宮本康弘は苦々しく微笑んだ。「まだ怒っているの?」

林知恵は黙っていた。

怒らないわけがない。

二つの人生で信頼してきた人が、結局ずっと彼女を騙していたのだから。

宮本康弘は彼女を見て、諦めたように言った。「謝りに来たんだ。一緒に夕食でもどうかな。これからはもう機会がないだろうから」