林知恵はお風呂を済ませ、客室のバスローブを着た。
床まで届く男性用のバスローブを見て、彼女は不思議に思った。
前回来た時も、家の内部をよく見ていなかった。
今になって気づいたが、ここには折木和秋の生活の痕跡が全くなかった。
女性が宿泊した形跡すらない。
折木和秋はここに住んでいなかったの?
疑問を抱きながら、彼女はベッドに潜り込み、その思考はすぐに柔らかいダウンケットの心地よさに取って代わられた。
とても気持ちいい。
彼女は一回転して、目を閉じた。
しかし、慣れないベッドで寝返りを打ちながら眠れず、目を閉じて星を数えるしかなかった。
何個目の星を数えていたのか分からないうちに、隣の部屋からグラスが床に落ちる音が聞こえた。
またこの手か!
林知恵は冷ややかに鼻を鳴らし、体を反転させて布団を頭まで被り、知らぬ存ぜぬを決め込んだ。