宮本深が去った後、林知恵は魂を失ったように柱に寄りかかり、外の広がる雪景色が彼女の血の気のない顔色を照らしていた。
彼女は柱を支えに前に進み、頭上には新しく掛けられた赤い絹布があった。
それらは風の中で躍動していたが、彼女だけが死んだように静かだった。
部屋に戻ると、林知恵は体中の不快感を抱えながらゲストルームのベッドに横たわったが、新しい寝具にも安心感は全くなかった。
最後には、ぼんやりと目を閉じた。
……
宮本深はソファに座り、指先で額を支え、長い睫毛を半分閉じて、瞳の中の感情を隠していた。
「三男様、お帰りなさい」
桑田蘭子は喜んで近づき、彼がソファに置いたコートを見ると、すぐに気配りよく取り上げて袖口を整えた。
「クローゼットは全部整理しました。掛けておきましょうか?」
「ああ」
宮本深は心ここにあらずと返事をした。
突然、指先が止まり、素早く立ち上がって階段を上った。
桑田蘭子は少し戸惑い、振り返って宮本深の後を追い、息を切らしながら言った。「三男様、ゆっくり行ってください。私はそんなに速く歩けません」
クローゼットに着くと、桑田蘭子は宮本深が棚の前に立っているのを見た。
「どうしました?」
「棚の中の赤いマフラーはどこだ?」
宮本深自身も気づかなかったが、突然声を荒げていた。
桑田蘭子は少し硬直し、説明した。「破れていたので、使用人に箱に戻して保管させました。箱は…使用人が下に持って行って捨てたようです。私が…」
彼女の言葉が終わる前に、目の前のシルエットは既に階段口から消えていた。
宮本深が探しに行くと、二人の女中がゴミ箱の横で火をつけていた。
「気持ち悪いわ、彼女が触ったものなんて要らないわ、臭いがするもの」
「小声にして」
「何を恐れることがあるの?お爺様も彼女の品性について暗に批判していたじゃない?お爺様が間違えるわけないでしょ?」
女中は嘲笑いながらマフラーを火の中に投げ入れた。
炎がマフラーに舐め上がった時、一つの手が火傷も構わず、直接火の中に手を伸ばしてマフラーを奪い返した。
しかし、一角はすでに焼けていた。
彼は目を上げて女中を見た。表情は無いものの、深い黒い瞳の底には恐ろしい暗さがあった。
「お前たちは解雇だ」