病院。
林知恵は山下穂子の服装が目立ちすぎると思い、彼女を車で待たせることにした。
そして彼女自身は薬を持って漢方医院へ向かった。
彼女はわざと女医を選び、家族が妊活のために漢方医から処方された薬があるが、それを飲んでも大丈夫かどうか尋ねた。
女医は辛抱強く答えた。「ご家族の年配の方が、どこかで聞いた漢方医の話ですか?」
「はい」林知恵はうなずいた。
「漢方薬は正規の場所で調合してもらうべきです」女医は処方箋を見て、目を輝かせた。「でもこの処方箋はいいですね、それに漢方薬局の印もありますから、問題ないでしょう」
林知恵はまだ不安で、直接薬の袋を一つ取り出して女医に見せた。
「これらの薬に問題がないか見ていただけますか?」
女医は微笑んだ。「あなたは慎重ですね。この処方箋を書いた人は、きっと経験豊富で、間違いを…」
言葉の途中で、彼女は突然立ち止まり、大きな漢方薬の袋から目立たない細かい破片をいくつか選り分けた。
「これは処方箋にないものです。この薬は別の薬と相性が悪く、飲めば飲むほど体を冷やしてしまいます。おかしいですね。調剤ミスでしょうか?」
林知恵はそれらの破片を見つめた。医者が分けてくれなければ、漢方薬から落ちたかすだと思っていただろう。
林知恵はあまり感情を表に出さないよう、驚いたふりをして言った。「確認してみます。ありがとうございます」
「いいえ、聞いてくれて良かったです。そうでなければ、すでに体が弱っている人が飲んだら、さらに体を損なうことになりますから」
林知恵の手が震え、薬をこぼしそうになった。
山下穂子がこれを飲んでいたら、妊娠できないどころか、体も壊れていたかもしれない。
なんて残酷なことだろう。
彼女は急いで荷物を持って立ち去った。
慌てていたため、隣にいた女性にぶつかってしまった。
女性は小さく叫び、すぐにお腹を守った。「どう歩いているの?私、妊娠しているのよ」
言葉が終わるか終わらないかのうちに、バッグを背負った男性が慌てて駆け寄り、彼女を支えた。
「大丈夫か?」
「大丈夫、ただびっくりしただけ」女性はお腹を撫でた。
男性が怒り出そうとしたとき、林知恵はすぐに頭を下げて謝った。
「すみません、すみません、私が不注意でした。よろしければ、検査に付き添いましょうか?」