第400章 まさか子供まで利用するとは

林知恵はもう一度星奈を抱きしめてから、彼女を下ろして再び荷物の整理を始めた。

出発の準備をしていると、彼女は幼稚園の事故のことを思い出した。

ほとんどの子供たちを、彼女は知っていた。

そこで彼女は急いで携帯を開き、先生に5万元を送金し、怪我をした子供たちのためだと備考に書いた。

しかしすぐに、先生はお金を返金してきた。

「星奈のお母さん、宮本さんという方が既に負傷者の医療費を全額負担されています」

宮本さん?

宮本深。

そういえば、なぜ宮本深が病院にいたの?

もしかして子供たちに寄付するために特別に来たの?

考えていると、先生からまた連絡が来た。

「園長の話では、その宮本さんはずっと献血グループに所属していたそうですが、何らかの理由で献血ができないため、寄付をされたそうです。やはり善良な人は多いですね。星奈のお母さん、ありがとうございます。星奈は今、大丈夫ですか?」

「大丈夫です。あと、星奈を一週間休ませたいのですが」

「もちろん大丈夫です。星奈のお母さん、星奈の様子に注意して、何か問題があればすぐに教えてください。園長は現在、病院の児童心理専門家と連絡を取り、生徒たちの心理的安定を図っています」

「はい」

林知恵は幼稚園が子供の心理をこれほど重視していることに感謝したが、彼女はこの先、戻ってくるつもりはなかった。

安定して暮らせる街を見つけたら、学校に退学の連絡をするつもりだった。

携帯を閉じる時、彼女は思わず先生が先ほど言った言葉をもう一度見た。

宮本深は毎年木村悦子に健康診断を受け、食事も非常にバランスが取れており、長年の鍛錬で体も健康だった。

どうして献血の条件を満たさないことがあり得るだろうか?

これは林知恵に森田謙の言葉を思い出させた。星奈の心臓の問題は、宮本深があの夜に飲んだ薬と関係があるかもしれない。

もしかして宮本深の体も影響を受けているのだろうか?

ぼんやりしていると、彼女の携帯が鳴った。配車サービスが到着したのだ。

林知恵は急いでスーツケースを持って階下に降り、店員に星奈を連れて実家に帰ると伝えた。

彼女の実家がどこにあるのか、店員も知らなかった。

車に乗った後、林知恵は公共交通機関のある場所には行かず、3年以上前と同じように、高速道路の料金所の一つ手前の出口に向かった。