食事の後、林知恵と狭山一美はもう少し散歩した。
二人は星を見ながらあくびをして、帰ることにした。
駐車場で車に乗ろうとしたとき、狭山一美は突然林知恵の袖を引っ張った。
「知恵、あれはあなたのお母さん?」
林知恵がその方向を見ると、確かに山下穂子だった。
彼女が手を振ろうとして声をかける前に、山下穂子はこそこそと配車サービスの車に乗り込んだ。
宮本石彦は今や会社の副社長で、出入りには運転手が送迎しているのに、なぜ山下穂子は配車サービスを利用するのだろう?
「知恵、あそこにあるのはお母さんの車じゃない?」狭山一美が角の高級車を指さした。
彼女は昨日病院で食べ物を買いに降りたとき、その車を見かけた。そばにいた人が宮本家の車だと言っていた。
京渡市全体で宮本家の車のナンバープレートだけが連番だからだ。